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歳末派遣村対策も重要だが自殺防止策も忘れずに [政策]

 11月30日、17都道府県のハローワーク77カ所で「ワンストップ・サービス・デイ」が実施された。ハローワークが行ってきた職業相談、職業紹介、職業訓練の受講斡旋、訓練期間中の生活資金、住宅入居初期費用等貸付などに加え、市町村が担当する住宅手当や生活保護、生活支援資金の相談、さらに多重債務の相談、心のケアなどが一か所で受けられる。昨年末の歳末派遣村を再現させまじ、と政府が注力して実現したが、今回はあくまでも試行実施だ。全国で約3千人がサービスを受けた、とテレビが報じていた。
 高止まりしている完全失業率が問題視されるが、それに目を奪われると施策のミスリードにつながる。というのは、失業保険が切れた人はハローワークに行かなくなるのだ。このために見かけ上、求職者が減る。もう一つは社内失職者だ。雇用調整助成金で息を接いでいる潜在的な失業者が約2百万人いる。失業者は3百万人でなく、5百万人と考えておいた方がいい。求人倍率が改善しない中での急激な円高が、不況の二番底の引き金になる懸念が強まった。
 失業対策の陰に隠れてしまったが、自殺防止対策も重要だ。非公式ながら、1月から10月末までの自殺者は2万8千人に迫っている。年間自殺者3万人の不名誉な連続記録を回避するのは至難といっていい。福島瑞穂さんが担当してまとめた「自殺対策100日プラン」は、来年3月末まで経営者の相談に乗るというものだ。従業員を解雇したことへの罪の意識に加え、運転資金の欠乏や借入金の返済に追われる経営者、行き所を失った失業者が命を絶つ。まして日本独特の心中という行為は、子どもの未来を犠牲にする親の身勝手な罪にほかならない。これを何としても阻止しなければならない。
 具体的な方策から心のケアまで、ワンストップで相談に乗ってくれる場所ができるのはいいことだ。正直なところ、なんで今ごろ?だが、そのことは問わないとして、消えた年金対策と同じように、組織を作って終わり、になりはしないか。異なる行政組織が一つの場所に集まっても、責任回避のたらい回しになってしまうのではないか。試行実施では、なるほど上手く行くだろう。継続実施となったとき、それを誰が担うのか。共通の問題意識に基づいて組織を超えた解決策を探る態勢ができるのか。非営利組織の有志に協力を求めることも検討されていい。要は現場に立つ人の問題である。(2009.12.1)
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