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事業仕分け 木を見て森を見ぬが如し [政策]

 行政刷新会議の事業仕分けが終了した。447事業のうち「廃止」が71、「見送り」が19。このほか「縮減」「基金返納」などで1兆6000億円(朝日)~1兆9500億円(毎日)の無駄が炙り出された。戦後60年、密室で決められてきた国家予算の使い道が公開の場で議論され、無謬の原則と聖域扱いで肥大化する官僚機構の構図を白日の下にさらけ出した効果は大きい。次世代スーパーコンピュータ開発事業の予算凍結にノーベル賞受賞者らが異を唱え、マスコミ報道も同調しているようだが、今回の判定がかえってその必要性を広く認識させることになるかもしれない。
 IT関連では、厚労省のレセプトオンライン用機器整備(215億円)、総務省の安心・安全ⅰ―City推進事業(82億円)、地域イントラネット基盤施設整備事業(10億円)、高度ICT人材育成支援事業(0.7億円)、情報通信分野ベンチャー企業支援(0.5億円)、経産省の安心ジャパン・プロジェクト(32億円)、サービス産業生産性向上支援調査事業(14億円)などが「廃止」「縮減」、情報処理推進機構の余剰金98億円の国庫返納が求められた。次世代スパコンと並んで、有用性を数値で示すことが難しい中長期施策は軒並み討ち死にだ。しかし年間1兆2000億円の国費が投入されている電子政府プロジェクトには、ほとんど手が着けられなかった。
 事業仕分けの手法は今後も継続する価値がある。と思うのだが、疑問に思ったことがいくつかある。箇条書きにすると、①政権与党のマニフェストを仕分けすべきではなかったか②国民目線で臨むのならネット投票で十分ではなかったか③民間仕分け人はどのようなプロセスで選任されたのか、その要件はどうだったのか④民間仕分け人の法的裏づけはどうか⑤国会と国会議員は何をするために存在するのか⑥サイレント・マジョリティの意見をどのように汲み上げるのか⑦複数省庁にまたがるテーマをどのように仕分けるのか⑧特別会計にはいつ切り込むのか⑨仕分け後の政治的判断プロセスも公開されるのか――等である。
 事業仕分けの判定は政治判断の参考に過ぎない。このため仕分け人は無責任に発言し、それが判定を左右する。連日のテレビ報道で政治家は世論を意識し、自ずから劇場型・衆愚的になっていく。今回は来年度予算の無駄を指摘するのが主な目的だったため、個々の施策が槍玉に上げられた。だが、その大元である政策の枠組みを変えなければ旧弊の根は断ち切れない。木を見て森を見ぬが如しである。(2009.11.28)
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