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エコをビジネスにする欺瞞 [世相]

省電力型の家電製品(特に薄型テレビ)や高燃費型自動車(特にハイブリッドカー)を購入すると、政府から「エコポイント」がもらえる。家電量販店やカーディーラーは「買うならいま!」と宣伝に必死だ。「エコ」を売り物にした家電製品や自動車を生産したり、非エコの旧型製品を廃棄するときに排出される温暖化ガスとのバランスはどうなのか、ほとんど報道されていない。多少燃費は悪くても、旧型車を長く使い続けたほうが結果としてエコになるのではないだろうか。
 もう一つ、コンビニで廃棄される弁当が問題になった。定価販売を崩したくない本部と、廃棄分の損失をそっくり負担させられるフランチャイズの利害がぶつかったのだが、報道では「エコ」とか食糧問題にすり変えられてしまった。もし廃棄分の損失を本部が全部負担するとしたら、フランチャイズ店主はあれほど文句を言わなかったんじゃないだろうか。
 大手スーパーが始めて話題になった「古着や古靴などを1点500円で引き取る」というのも、どうも胡散臭い。3000円以上の衣類を買えば、というような条件が付いている。つまるところ、売上げ減に歯止めをかけたい一心で編み出した苦肉の策。引き取った古着や古靴を処分するのに、どれほどの温暖化ガスが排出されたのだろう。
 家電、自動車、食品、衣料品と、いずれもエコをビジネスにした欺瞞といっていい。不急不要の品を買わない、買った品物をたいせつに長く使う、食べ物を残さない、ゴミを出さない(これはなかなか難しい)のがエコの原則だと思っている。
2009-07-08 23:50
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それで? [世相]

※タイトルを変えました。

7月8日10:50現在、このブログのアクセスランキングが1万8360中の9333位。
ちょうどど真ん中というわけです。
アクセスが増えてランクが上昇するのは嬉しいように感じるけれど、「それで?」と言われたら答に困る。
世の中で起こっていること(ないし騒々しく報道される事象)に、「それで?」と問いかけてみると、その本質が見えてくる。
自動車が売れなくなってたいへんだ、という。
「それで?」
どうってこたぁないじゃないか。
自民党が選挙で負けたらたいへんだ、という。
「それで?」
どうってこたぁないじゃないか。
北朝鮮が核弾頭を搭載したミサイルを、日本に向けて発射した、とする。
「それで?」
どころの話じゃない。
2009-07-09 10:57
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また人身事故 [世相]

過日、オジサンがいつも使っているJRの駅で人身事故があった。電車の中で言い合いになった2人がホームで殴りあっているうち、走り出した列車にぶつかった。2人とも亡くなった、と新聞にあった。
昨日も一昨日も一昨昨日も、列車の人身事故が起こっている。不注意の事故もあれば喧嘩の末の事故もある。さらに自殺が後を絶たない。自殺する当人は勝手だが、残された家族を思うと不憫でならない。
おととし、オジサンは大学の後輩を鉄道自殺で亡くした。その3か月ほど前、電話がかかってきた。あのとき、何かできなかったか、と悔やんでいる。
ホームドアを付ければ、このような不幸は格段に減る。ところが政府は、ホームドアの工事費を税金で補助するのは、特定企業を支援することになる、といって何も対策を講じない。ある試算によると200億円もあれば、1日平均1万人以上が利用する駅のホームにホームドアを取り付けることができる、と聞いたことがある。2兆円の定額給付金をバラまくのなら、その0.1%をホームドアに使って、国民の生命と生活を守るべきじゃないか。
政治家がこういう議論をしていると聞いたことがない。
2009-07-11 22:32
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どうした共産党 [世相]

 昨日(7月12日)の東京都議選の結果を、新聞各紙は「自民大敗・民主大勝」と書く。たしかに自民党は48議席から38議席に減り、民主党は35から54に増えたのだから、その通りだが、これは織り込み済みといっていいようなもの。逆に、あれだけの逆風のなかで、自民党がよくぞ38議席も取れたものだと思う。候補者それぞれが健闘したと称えるべきだろう。
 あまり目立たないが、私が注目するのは共産党の「大敗」だ。13議席から8議席と3分の2に党勢を縮小した結果、条例案の提出権を失ってしまった。共産党は政党助成金を受け取っていない唯一の政党で、純粋野党として大きな存在価値を持つ。民主党が第1党とはいえ単独過半数は占めていないので、自・公との馴れ合いが起こる可能性がある。それを牽制し、民主党の自民化に歯止めをかけるのが共産党の役割だ。
 東京都は愛知県と並んで非正規雇用者が集中し、契約解除で路頭に迷った人が少なくないはず。小説「蟹工船」が売れても、労働者が共産党に投票しないのは、自分は「労働者」なんかじゃないという意識があるからなのか。私は共産党が自民党の票を食って議席1.5倍増(つまり20議席)、民主党が50議席、自民党は30議席ぐらいに激減すると思っていた。
 残念な結果だった。
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気候変動と“乱世” [世相]

 「異常気象」が続いている。梅雨明けといいながら蒸し暑いばかり。スコールのような集中豪雨、竜巻、急激な気温の低下などで、床上浸水、土砂崩れ、土石流、海山の遭難と、いかにも“乱世”を思わせる。現与党か現野党か、政権選択の総選挙を前に、入江陵介クンが一足早く“ねじれ”を解消、ベテラン勢を押し分けて石川遼クンが優勝した。議席を世襲することに懸命な高齢代議士と、実力でトップに立つ10代の活躍は対照的だ。
 ふと思い出して書架から取り出したのは、27年も前に出版された『邪馬臺国の常識』という本だった。受けねらいの邪馬台国モノではなく、人類学、民俗学、森林学、古文書学といった古代史専門家にあらざる専門家がそれぞれの立ち位置で紀元三世紀の日本を論じている。ちなみに「邪馬台国」は俗称で、中国古文書の表記は「邪馬臺」が正しい。
 そこに山本武夫博士の論文が載っている。いわく、天候がストーミーになるのは小氷期への過渡期に特徴的な現象だそうだ。19世紀後半から20世紀前半、15世紀後半から16世紀前半、さらにさかのぼると11世紀中葉から12世紀初頭にかけて、地球全体が寒冷化し、天候が不安定になった。戦いが絶えなかったのは、そのためらしい。食糧に不安が生じ、領土争いが戦いを生み、領土の拡張が社会を豊かにするという錯覚が世界を支配した。
 反対に現在は温暖化だという。「エコで減税」というが、定額給付金と同様、税金をバラまいて票を集める策にほかならない。ここで小氷期か温暖化かを議論しても始まらない。前者は一世紀単位の変化であって、異常な暑夏と厳冬、多雨と寡雨が繰り返される。対して後者は今を生きる我われの課題である。このままでは地球が滅びる、と言われると、誰も明確に反証できない。政治の詭弁とならないよう、自分ならどうするか考えなくっちゃね。
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劇場型と激情型 [世相]

 今回は街中に氾濫する責任回避が目的の言い回しについてである。
 「頑張りますんで、応援、よろしくお願いします」は若いスポーツ選手の決まり文句だ。ひたむきに努力をしている人には自然に応援したくなるものだ。応援してくださいとは何ごとか、甘ったれるな、とは言わないが。
 レジに持っていった商品に値札が付いていなかった。「調べてきますんで、お待ちいただいてもよろしいでしょうか?」。そう尋ねられれば、「イヤだ」という答えもアリだろう。
 あるレストランで、店員が「ご注文の方、これでよろしかったでしょうか?」。その精算で5千円札を出したところ、「こちらの方からでよろしかったでしょうか?」。こちらもどちらもあるものか、そのために5千円札を出したのだ。“~の方”、“よろしかったでしょうか”型の婉曲表現を聞くたびにイラッとくる。
 視聴率に振り回される劇場型報道のせいもあるけれど、21世紀の始まりとほぼ同時に、世の中にアドレナリンが充満した。0か1か、YESかNOか二者択一を迫り、ヒステリックに追求する。責任を曖昧にしていいわけではないが、強まる他者攻撃の裏側にあるのは自己保全の願望だ。自分だけは厭な思いをしたくない、傷つきたくない。相手の意思を確認するかの如く装って自分の都合を主張する欺瞞。そんな話法が定着し、相手の失態が判明すれば手のひらを返して責めたてる。
 政治家や官僚を眺めれば、「適正に……」「誤解されたとすれば……」と政治家は口にする。適正かどうかは客観的な評価だし、正しく解釈した方が悪いとでも言いたいのか。「ご意見として……」「前向きに……」は、何もしないときの常套句だが、ちと手垢が付きすぎた。最近、「改革」という言葉は「旧態回帰」の意味であるらしい。勇気と覇気を失った劇場型ならぬ激情型は、「誰でもよかった」と少しも変わらない。

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地震速報誤報はなぜ起きたか [世相]

 毎朝5時過ぎに起床してやった仕事の方が、深夜の作業より品質がいい、という友人がいる。週刊誌を中心に活躍しているフリーランサーだ。テレビは見ない、もっぱらラジオと話していたが、25日早朝に流れた「震度5の地震がくる」という緊急速報に、すわ関東大地震の再来かと慌てふためいたそうだ。首都圏の交通機関が運転を停止し、朝の通勤ラッシュが重なって大混乱となったが、気象庁は原因を調べることを優先し、誤報であることを4時間近く発表しなかった。
 その原因は、気象庁によると「地震計のソフトウェアの改修を依頼した明星電気が、依頼したものとは別のソフトウェアに無断で変更を加えた上、変更内容も誤っていた」という。二重のミスでマイクロメートルがミリメートルと千倍に水増しされたのではたまったものではない。気象庁は被害者然としているが、真の被害者は交通機関の混乱に巻き込まれた善良な一般市民だ。ITシステムの安全性と信頼性が強く求められ、ロジック・ミスとプログラム・バグの撲滅が提唱されるが、それは形の上でのこと。IT社会のリスク管理こそ肝要だ。
 07年7月に柏崎市を直撃した中越沖地震では、地震波予報システムが注目された。音声やテロップで自動的に「あと○分で大きな揺れがきます」と知らせてくれるので、病院や学校、消防などが的確に備えることができるという。しかし震源地に近い場所では、お知らせを聞いている間に大地が揺れることになる。工場などでスイッチを緊急遮断できるという人もいるが、柏崎原発で火災が発生した。土建業者が減って地域に重機類がないため、被災者の救出や震災の普及にてこずった。地震予測システムより地域社会の復元力を再構築する方が先ではないか。
 「地震・雷・火事・オヤジ」は怖いものの常套句だが、昨今はオヤジが消えて集中豪雨と竜巻が加わった。森林が荒れ、山と川岸はコンクリート。そのために百年磐石な裏山が崩れ、土石流が起こる。配水管を逆流した洪水も珍しくない。社会・経済ばかりか、天候まで「昭和」のフレームが通用しなくなっている。TBS系のドラマ「官僚たちの夏」に登場する都電や三丁目の夕日的な町並みにはノスタルジーを感じるが、いまとなってはその官僚機構も一部が負の遺産だ。システムの不具合が社会に混乱をもたらすのは主客転倒。人と組織の常識が機能する世の中に戻すには、個の世界を再構築するしかないだろう。
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それは火曜日に起こった [世相]

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 朝、いつものようにテレビをつけると高速道路が倒れていた。バックに何筋か黒煙が上がっている。未明に襲った大地震が神戸を直撃した、という。鉄道は止まり、道路は寸断されている。火災が発生しているが、局所的な被害で食い止められそうだ、とニュースが伝えているうち、昼過ぎに壊滅的な被災が明らかになった。地下に埋設したガス管を伝って各所に火の手が延び、さながら大規模な空襲を受けたような光景が映し出された。死亡6343名、不明3名、負傷約4万4千人、倒壊家屋約90万棟(一部損壊も含む)、道路寸断10万か所。95年1月17日の阪神淡路大震災だ。

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覆水盆に返らず [世相]

 覆水盆に返らず、という諺がある。去年の秋に解散していればこんなに大敗しなかった、はいまさらの繰言。世界同時不況がなければ、と言いたくなる気持ちは分からないでもないが、敗軍の将が語ることではない。一昨年の秋から設備投資に翳りが出ていたこと、原油価格が急騰した理由、五輪後の中国経済に対する警戒感、米国におけるサブプライムローンの破綻といった変化を注意深く観察していれば、何か備えができたかもしれない。素人の筆者ですら、昨年3月に秋口の景気失速を予測できたのだから、政治に必要なのは2つのソウゾウ力(創造力と想像力)だ。

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厭離穢土欣求浄土 [世相]

 阿弥陀様は西方浄土におわして、人間世界の救済を常に考えている。世が乱れて末法が到来したとき、無量の光とともに降臨して、南無阿弥陀仏の6文字を唱える衆生を掌に拾ってくれる――と信じられた。釈迦入滅から千年は教えが実践される正法、次の千年が形だけ継承される像法となっていて、つまり釈迦の死語2千年と1年目が末法の元年ということになる。日本では藤原道長が没した24年後の永承七(1052)年が末法元年とされ、この年に道長のあとを継いだ頼道が左大臣源重信の婦人の別荘を平等院に改めた。鳳凰堂の庇下には観音開きの窓があって、そこから本尊の尊顔を遠拝することができるようになっている。

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「だけ」という言葉が気になる [世相]

 昨日の続きのようだが、最近気になるのが「だけ」という言葉である。「〇〇するだけ」=簡単=手間をかけない。たった10分でプロ並みの料理を作れる、などということは絶対にないのだが、テレビのにぎやかし番組は「だけ」を乱発する。簡単な手続きでお金が借りられるなどというのは、危険な証拠だ。「いまだけ」は売らんかなの商魂逞しい呼込みに他ならない。早い・安い・美味いを実現するには、その裏でたいへんな努力と工夫がなければならない。誰もが簡単にできる、という宣伝文句はたいていが何かを誤魔化していると考えていい。
 拙者の家は夫と妻の区別なく、早く帰宅した方が夕食の支度をする。在宅勤務が多くなったので、週の半分は拙者の担当だが、つくづく思うのは手抜き料理は美味しくないということだ。カレーや煮物は前日に仕込んでおく。仕込みは他の料理と並行してできるから、特段の時間はかからない。煮物は冷えていくときに調味液が馴染み大根や肉に味が沁みる。翌日は味を調整するだけでいい。この場合の「だけ」は手間を省くというより、「手際よく」である。素材と料理の質を理解することと、ひと手間を加えることがポイントで、そのために多くの失敗と手間ひまがかかっている。
 インタビューをし、それを原稿に起こすのが拙者の仕事だ。最近の若い記者の中にはメールで質問を送って、返送された回答で記事を書くということがあるらしい。なるほど、取材の手間ひまや往復の時間はかからないし、それでも記事は書ける。しかし相手の表情や声の強弱は分からない。質問に戸惑いながら苦し紛れに答えたのか、いい加減にあしらっているのか、資料を見ながら答えたのか、それを見て書く原稿と、メールの往来だけで書かれた記事では、読者に訴える力が自ず違う。往復の途中で見かけた街の様子がヒントを与えてくれることもある。
 若い記者は「どうしてそんな情報が簡単に入ってくるのか」と不思議がる。多くの人が相談や問合せにやってくる。「知ってる?」とわざわざ教えてくれることもある。それが情報が集まる仕掛けだ。裏方に徹してきたこと、自己の利益に結び付けなかったこと、迎合せず相手の嫌がることも言ってきたこと、情報源を秘匿してきたこと等々、いくつもの積み重ねがある。失敗を忌避する被害者意識が「だけ」の一言に示されている。失敗を許さない、早く結論を出せと迫る風潮を是正しないとこの国は国際社会で立ち遅れる。(2009.11.20)
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若者よ 立ち上げれ! [世相]

 朝日の報道に続いて、今夜のNHKニュースウォッチ9でも来年春の大卒予定者の就職内定率が7割に達していないというレポートを流していた。特に文科系4年制女子の就職が難しい。昨年秋を境に急転した日本経済は、“とりあえず”の底打ち感が広がっているが、雇用情勢は依然として厳しい。雇用調整助成金で息を接いでいる社内失職者のリストラが本格化するのはこれから。なるほどベテラン技能者より新卒者の方が給与は安いが、それで仕事が回るはずがない。就職氷河期は来年も続くと見ていい。

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